実家の不動産どうする?相続・売却・活用の選択肢

実家の不動産の選択肢を落ち着いて調べる40代のイメージ(フラットイラスト)
離れて暮らす親の実家の前に立ち、その将来を考える親子のイメージ(フラットイラスト)

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「実家、いずれどうするんだろう」――離れて暮らす親のことを考えるとき、ふとそんな思いがよぎることはありませんか。親はまだ元気。だからこそ、真剣に話す機会もないまま、時間だけが過ぎていく。そんな方も多いのではないかと思います。

私も同じ立場です。実家を売った経験があるわけでも、相続をすでに終えたわけでもありません。ただ、「いつか向き合うことになる」と感じて、実家の不動産にはどんな選択肢があるのか、どこに相談すればいいのかを、当事者の目線で調べて整理してきました。この記事は、その整理の記録です。

最初にお伝えしておきたいことがあります。この記事は、税金や登記、法律について「こうすれば得です」「こうするべきです」と断定するものではありません。最終的な判断は、必ず税理士・司法書士・不動産会社など専門家に相談してください。この記事の役割は、専門家の代わりになることではなく、選択肢の全体像を整理し、あなたの実家がどのパターンに近いか当たりをつけ、次にどこへ相談すればいいかの入口を示すことです。

この記事を読むと、次の3つがわかります。

  • 実家の不動産にどんな選択肢があるのか、全体像
  • 自分の実家がどの選択肢に近そうか、当たりのつけ方
  • 次に誰に相談すればいいか
目次

実家の不動産、「いつか」ではなく「今」考え始めるべき理由

「まだ元気だから、実家のことは先でいい」――そう思う気持ちはよくわかります。ただ、調べていくうちに、「今のうちに動いておいたほうがいい理由」がいくつかあることに気づきました。

空き家になってから動くと選択肢が狭まる

親が施設に入る、あるいは亡くなるなどして実家が空き家になると、管理の手間や固定資産税の負担が発生します。空き家に関する税制上の扱いや特例には期限や条件が関わってくることも多いようですが、この記事では制度の詳細や期限を断定的には説明しません。「空き家になってから考えるより、早めに動いたほうが選べる選択肢が多い」という一般的な傾向として捉えていただき、具体的な制度の適用可否は税理士や自治体の窓口で確認することをおすすめします。

親が元気なうちにしか聞けないことがある

不動産の権利関係、住宅ローンが残っているかどうか、隣地との境界がどうなっているか、権利書などの重要書類がどこにあるか――これらは、親に聞かなければわからないことばかりです。認知の状態が変わってしまってからでは、確認が難しくなるケースもあります。「今のうちに聞いておく」ことが、後々の選択肢の広さにつながると感じています。

まず「実家が今どういう状態か」を把握する3つの視点

選択肢を考える前に、次の3つを確認しておくと、話が整理しやすくなります。

  • 名義:誰の名義になっているか(親単独か、共有名義か)
  • 建物と土地:建物と土地の名義が同じか、別か。築年数や状態はどうか
  • 借地か所有か:土地から所有しているのか、借地権なのか

実家の「モノ」の整理(生前整理)と、「不動産」の整理は、実は両輪です。あわせて進めておくと、後の作業がスムーズになります。生前整理の具体的な進め方は、【親が元気なうちに】実家の片付け・生前整理完全ガイドで詳しく整理していますので、あわせて参考にしてください。

【全体像】実家の不動産、5つの選択肢

実家の不動産をどうするか、正解は家庭ごとに違います。大切なのは、最初から「これしかない」と決め打ちしないこと。まずは選択肢の地図を持って、そのうえで自分の実家に合うものを絞り込んでいくのがおすすめです。調べていくと、実家の不動産の選択肢は、大きく次の5つに整理できることがわかりました。

  1. 売る(相続前に売る、または相続してから売る)
  2. 貸す・活用する(賃貸に出す、駐車場にするなど)
  3. 住む・住み継ぐ(自分や家族が使う)
  4. リースバック(親が住み続けながら資金化する)
  5. 手放す・引き継がない(相続放棄という選択、または訳あり物件として売る)
選択肢 メリット デメリット・注意 向いている人 主な相談先
①売る(査定・売却) 現金化できる・管理負担がなくなる 売却益に税金が絡む場合がある(要確認) 誰も住む予定がない・管理が負担 不動産会社・査定サービス・税理士
②貸す・活用 保有しながら収益化できる 空室・修繕・管理のリスクがある 立地が良い・手放したくない 不動産会社・賃貸管理会社
③住む・住み継ぐ 資産として残せる 維持費がかかる・遠方だと使いにくい 家族が将来使う予定がある 不動産会社・リフォーム業者
④リースバック 親が住み続けながら資金化できる 家賃が発生する・買い戻し条件に注意 住み続けたいが資金も必要 リースバック専門サービス
⑤引き継がない(相続放棄/訳あり売却) 負債や管理の負担から解放される 放棄は他の資産も含めて手放すことになる・期限がある 負債超過が疑われる・売れないと諦めていた 司法書士・弁護士・訳あり物件専門業者

※この表はあくまで一般的な整理です。税・法律・契約に関わる最終的な判断は、必ず各専門家にご相談ください。

選択肢①「売る」──相続不動産の査定から始める

実家をどうするか迷ったとき、多くの人が最初に考えるのが「売る」という選択肢だと思います。ここでは、売却を考えるときに押さえておきたいポイントを整理します。

相続前に売るか、相続後に売るかで変わること

「相続する前に親が売ったほうがいいのか」「相続してから子が売ったほうがいいのか」は、家庭の状況によって変わってくる論点です。税制上の扱いが異なる場合があるようですが、この記事では「どちらが得か」を断定することはしません。一般的には、それぞれにメリット・デメリットがあり、家族構成や資産状況によって結論が変わるため、税理士に相談したうえで判断することをおすすめします。

まず「いくらで売れそうか」を知る──一括査定・売却査定の使い方

売るかどうかを決める前段階として、「そもそもいくらくらいで売れそうなのか」を知っておくと、その後の判断がしやすくなります。売却査定サービスに相談すると、複数の不動産会社から査定額の目安を提示してもらえることが一般的です。まずは無料査定で相場感をつかんでみるのも一つの手です。

また、相続した不動産の売却を専門に扱うサービスもあります。相続不動産の売却に特化したサービスに相談する方法も選択肢の一つです。相続特有の事情(共有名義、遺産分割協議中など)に慣れている窓口かどうかも、選ぶときの視点になります。

査定サービスの選び方

査定サービスを選ぶときは、次のような視点で比較してみるとよいと思います。

  • 実家がある地域に対応しているか
  • 手数料体系がどうなっているか(仲介手数料の水準など)
  • 相続不動産の取り扱いに慣れているか

ご注意ください。査定額は「売れそうな見込み額」であり、実際に成約する価格を保証するものではありません。また、売却によって生じる譲渡所得税や特例の適用可否は、個々の状況によって異なります。具体的な税額のシミュレーションや特例の適用については、必ず税理士に相談してください。

選択肢②「借地の実家」だったら──借地権という論点

実家について調べていく中で、意外と見落とされがちなのが「借地」のケースです。土地は地主から借りていて、建物だけが親の名義になっている、という実家も少なくありません。

実家が借地に建っているケースは意外と多い

「うちは実家だから当然、土地も建物も所有している」と思い込んでいると、実は土地は借地権だった、ということがあります。まずは権利証や固定資産税の課税明細などを確認し、土地の所有形態がどうなっているかを把握することが第一歩です。

借地権は売れる・地主との交渉が必要になる、という一般的な整理

借地権も財産的な価値があるため、一般的には売却の対象になり得ます。ただし、借地権を売却する場合は地主の承諾が必要になることが多く、交渉や手続きが所有権の売却よりも複雑になりやすいという特徴があります。

借地権を扱う専門サービスに相談するメリット

借地権は権利関係が複雑になりやすいため、借地権の取り扱いに慣れた専門サービスに相談することで、地主との交渉や査定の窓口として動いてもらえる場合があります。まずは借地権の無料相談を試してみるのも一つの方法です。

ご注意ください。借地権に関する権利関係は借地借家法などの法律が関わり、契約内容によって個別性が非常に高い分野です。地主との具体的な交渉方針や契約条件の解釈については、必ず専門家(弁護士・司法書士)や専門業者に相談してください。

選択肢③「訳あり・空き家・再建築不可」──売れないと思っていた実家

「うちの実家は古すぎる」「立地がよくない」「再建築不可の土地だから売れないだろう」――そう思って諦めてしまう方もいるかもしれません。ですが、調べてみると、こうした「訳あり」とされる物件を専門に扱う受け皿があることがわかりました。

「築古・立地が悪い・事故があった・再建築不可」でも手放せる場合がある

一般的な不動産会社では取り扱いが難しいとされる物件でも、訳あり物件を専門に扱う会社であれば、買い取りや売却の相談に乗ってもらえる場合があります。「売れないから仕方なく持ち続ける」という選択の前に、一度相談してみる価値はあるかもしれません。

一般の不動産会社で断られた物件の受け皿という選択肢

再建築不可物件、事故物件、遠方の空き家など、通常の売買市場では扱いにくいとされる物件を専門に取り扱うサービスもあります。訳あり物件を専門に扱うサービスに相談する方法があります。まずは相談だけしてみるという進め方も考えられます。

なお、こうしたサービスの利用事例やお客様の声を紹介する場合は、必ず出典(公式サイト掲載の事例である旨など)を明記したうえで参照するようにしています。出典が不明な口コミは、この記事では扱いません。

ご注意ください。事故物件については告知義務など法律上の論点が関わります。告知義務の範囲や具体的な対応については、専門家・専門業者に確認のうえ進めてください。

選択肢④「親が住み続けたい」──リースバックという資金化

「実家は売りたいけれど、親はまだそこに住み続けたい」――そんなときに選択肢に挙がるのが、リースバックという仕組みです。

リースバックの仕組み

リースバックとは、簡単に言うと「不動産会社に実家を売却したうえで、その後は賃貸契約を結んで家賃を払いながら同じ家に住み続ける」という仕組みです。売却によってまとまった資金を得ながら、住み慣れた家を離れずに済む、という組み合わせが特徴です。

向いている人・注意点

「住み続けたいけれど、まとまった資金も必要」という状況にある家庭には選択肢の一つになり得ます。一方で、売却後は家賃の支払いが発生すること、将来買い戻す場合の条件(買い戻し価格など)は契約によって異なることには注意が必要です。リースバックの無料審査・相談サービスに問い合わせてみる方法もあります。まず相談してみることから始められる選択肢です。

ご注意ください。リースバックは「必ず得」とは言えません。家賃負担や買い戻し条件、契約年数などは会社ごとに異なり、税金の扱いも個別性があります。契約内容の比較検討や税務上の扱いについては、必ず専門家や複数のサービスへの相談を通じて確認してください。

選択肢⑤「引き継がない」という選択──相続放棄・手放す

ここまでは「実家をどう活かすか」という視点でしたが、そもそも「引き継がない」という選択肢もあります。

相続放棄とはどういう選択か

相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産も含めて、相続そのものを一切引き継がないという選択です。実家の管理負担や、負債(住宅ローンの残債など)が大きいと予想される場合に検討されることがあります。ただし、相続放棄をすると実家だけでなく他の財産も含めて一切を相続できなくなる点には注意が必要です。

期限や手続きは専門家の領域

ここは特に重要です。相続放棄には家庭裁判所への申述など法律上の手続きがあり、期限も定められています。ただし、この記事では具体的な期限や手続きの可否を断定的には説明しません。相続放棄をすべきかどうか、いつまでに手続きが必要かは、個々の状況によって異なるため、必ず司法書士や弁護士に早めに相談してください。判断を先延ばしにするほど選択肢が狭まる可能性があるため、「迷ったらまず専門家に相談する」ことをおすすめします。

「放棄せず、訳あり物件として売る」という中間の選択肢もある

「相続放棄までは踏み切れないけれど、実家自体は負担になっている」という場合、相続したうえで訳あり物件として売却するという中間的な選択肢も考えられます。この選択肢については、前述の「訳あり・空き家・再建築不可」の章で整理した内容もあわせてご覧ください。

実家の不動産、進め方の全体ステップ

ここまで5つの選択肢を見てきましたが、実際にどう進めていけばいいのか、大まかなステップとして整理してみます。

STEP1〜STEP4

  • STEP1 現状把握:名義・権利関係・住宅ローンなどの残債・重要書類の在りかを確認する
  • STEP2 家族で方針を共有する:兄弟姉妹も含め、どうしたいかの認識をすり合わせる
  • STEP3 査定・相談で相場と選択肢を知る:査定サービスや専門サービスに相談し、実際の相場感や選べる選択肢を把握する
  • STEP4 専門家へ相談する:税理士・司法書士・不動産会社など、論点に応じた専門家に相談し、最終的な判断を行う

「モノの整理(生前整理)」と並行して進めると動きやすい

不動産の整理を考えるタイミングは、実家の「モノ」の整理(生前整理)を考えるタイミングと重なることが多いです。書類や権利証のありかを確認する作業は、生前整理の中でも出てくる工程なので、あわせて進めておくと効率的です。具体的な進め方は【親が元気なうちに】実家の片付け・生前整理完全ガイドで整理していますので、参考にしてください。

また、「実家を売らずに親が住み続ける」「離れて暮らす間の安否をどう確認するか」という論点も、実家の不動産を考えるうえで避けて通れないテーマです。この点については高齢者見守りサービスおすすめ12社比較で詳しく整理していますので、あわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 親が元気なうちに実家の話をするのは失礼?

A. 一般的には、「縁起でもない」と感じる方もいれば、「元気なうちに聞いておいてほしい」と感じる方もいます。切り出し方としては、「実家をどうするか」ではなく「もしものときに困らないように、書類の場所だけ教えてほしい」といった、実務的な切り口から始めると話しやすいと感じています。

Q. 実家は空き家のままにしておくと何が問題?

A. 空き家のまま放置すると、管理の手間や固定資産税の負担が続くほか、建物の老朽化が進みやすくなります。具体的な税負担の増減や特例の適用可否は個別の状況によって異なるため、この記事では数値を断定しません。気になる場合は自治体の窓口や税理士に確認することをおすすめします。

Q. 査定を頼むとしつこい営業が来ない?

A. サービスによって対応は異なります。一括査定サービスの中には、連絡方法(電話ではなくメール中心など)を選べるものもあるようです。サービスを選ぶ際には、査定額だけでなく、問い合わせ後の連絡方法や頻度についても事前に確認しておくと安心です。

Q. 相続してから売るのと、相続前に売るのはどっちがいい?

A. これは家庭の状況によって結論が変わる論点であり、一律の正解はありません。税制上の扱いが異なるケースもあるため、必ず税理士に相談したうえで判断することをおすすめします。

Q. 兄弟で意見が割れたら?

A. 実家の不動産は共有名義になることも多く、意見が割れると話が進みにくくなります。感情的な話し合いだけで進めようとせず、査定額など客観的な情報を先に共有したり、必要に応じて司法書士や弁護士など第三者を交えて整理したりする方法も考えられます。

まとめ

実家の不動産の選択肢は、大きく分けて次の5つに整理できます。

  1. 売る(相続前・相続後)
  2. 貸す・活用する
  3. 住む・住み継ぐ
  4. リースバック
  5. 引き継がない(相続放棄・訳あり売却)

どれが正解かは家庭ごとに違います。まずは実家の現状を把握し、査定や専門サービスへの相談を通じて「地図」を持つこと。そのうえで、税理士・司法書士・不動産会社といった専門家に、具体的な判断を相談する。この記事が、その最初の一歩を踏み出すための入口になれば嬉しく思います。

あわせて、実家の「モノ」の整理については【親が元気なうちに】実家の片付け・生前整理完全ガイドを、離れて暮らす親の見守りについては高齢者見守りサービスおすすめ12社比較を、親の食事面のサポートについては高齢者向け宅食おすすめ比較を参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

40代会社員。離れて暮らす高齢の親が心配で、見守りグッズ・宅食サービス・便利家電を片っ端から調べて試しています。専門家ではありませんが、同じ悩みを持つ方の判断材料になればと思い、調べたこと・使ってみた感想を正直に発信中。

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